外国税額控除とは国際的な二重課税を排除する目的で、外国で納付した外国税額を一定の範囲内で日本で納付する税金の計算上、控除する仕組みをいいます。
この外国税額控除は、租税条約終結国で源泉徴収される税額について、条約に定める限度税率の範囲内で認められています。
外国税額控除の制度により控除できる外国法人税の額は次の計算式により算出された金額とされています。
租税条約終結国において納付された源泉税等については、租税条約に定める税率の範囲内でしか外国税額控除は認められません。
規定の税率を超えて課税された場合は、超過する税額分は、原則として、現地当局から還付を受けるまで仮払金等として資産計上することとされていました。
平成26年度改正により、平成28年4月1日以降開始する事業年度から、規定の税率を超えて課税された場合における超過する税額分について、損金算入が認められました。
例えば、日本の限度税率が10%で、A国との租税条約によりA国の本則に基づく源泉税率が15%で源泉徴収された場合には、限度税率内の10%相当額が外国税額控除の対象に、超過部分の5%相当額が損金算入される取扱いとなります。
内国法人が租税条約終結国で源泉徴収された税額は、各種手続きを経ることで還付を受けることができます。
改正前はこの還付金を受け取るまでは超過税額は仮払金等として計上され、還付を受けた際にこの仮払金等として資産計上された金額が取り崩される処理が取られてきました。
改正により、上記5.の還付金については、支払を受けた時点で収益として受け入れられることとなります。
改正に伴い、過去から累積された限度税率超過額についても損金算入することが可能となりました。しかしこれらは、旧法に基づき資産計上されていたものであることから、この限度税率超過額を損金算入する場合、恣意的なタイミングによる損金算入であるとみなされる危険性があります。このような指摘を受けないよう、処理の合理性や意思決定を示す証拠資料を残しておく必要があります。