最近、いいお天気が続いていますね!
このまま一気に夏に向かえばいいのですが・・・
奄美・沖縄地方はついに梅雨入りとなったようです。
近畿の梅雨入りも間近ですね。
本日は連結納税制度のお話を少しさせていただこうと思います。
連結納税制度とは、どういったものなのでしょうか。
1. 連結納税制度の意義
連結納税制度は、企業グループの一体性に着目し、企業グループ内の個々の法人の所得と欠損を通算して所得を計算するなど、企業グループをあたかも一つの法人であるかのように捉えて法人税を課税する仕組みである。(内閣府 税制調査会より)
簡単に説明しますと・・・
A社(親会社)、B社(子会社)、C社(子会社)があるとします。
各所得金額が、A社:2千万円、B社:1千万円、C社:△2千万円の場合、各納税額は、A社:478万円(2千万円×23.9%)、B社:239万円(1千万円×23.9%)、C社:0円、合計:717万円(478万円+239万円+0円)となります。
しかし、連結納税を適用した場合、A社:478万円(2千万円×23.9%)、B社:239万円(1千万円×23.9%)、C社:△478万円(△2千万円×23.9%)となり、グループ納税額は合計:239万円(478万円+239万円+△478万円)。
つまり、単体納税と比べ、税額が低減されることとなります。(なお、説明を簡単にするため、今回は税額控除の適用なし、中小法人の軽減税率も考慮していません。)
では、実際に連結納税を適用した場合、どういったメリット・デメリットがあるのでしょう?
以下にメリット・デメリットをまとめました。
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2. メリット
・グループ各社の所得(黒字)と欠損(赤字)を相殺できる
➡ 連結グループ全体では法人税が減少することがある
・連結グループ内の取引のうち特定の資産の譲渡から生じた譲渡利益について、将来その資産を連結グループ外へ譲渡等するまで課税が繰延べられる
・連結納税適用後に生じた子会社の欠損金については、連結ベースで繰越控除
➡ 他の会社において生じた所得からの控除も可能となり、繰越期限切れになりにくい
・連結納税制度の適用開始時(又は連結グループへの子会社の加入時)には子会社の資産を原則、時価評価
➡ 評価損が生じた場合、法人税が減少する可能性がある
・単体申告と比較すると、試験研究費などの税額控除において控除限度額が大きくなるケースがある
・連結納税グループ各社からの配当金は100%益金不算入となる
3. デメリット
・法人税の納付は、一義的には親会社が行うが、もしも親会社が納付できなかった場合には各子会社が連帯して納付責任を負うこととなる
・中小法人の軽減税率について、グループ全体の所得(連結所得)のうち800万円までについてしか課税が軽減されない
・連結グループ内の取引のうち特定の資産の譲渡から生じた譲渡損失について、将来のその資産を連結グループ外へ譲渡等するまで繰延べられる
・連結グループ内の法人間の寄附金は、全額損金にならない
・連結納税制度の適用開始時(又は連結グループへの子会社の加入時)には子会社の資産を原則、時価評価
➡ 評価益が生じた場合、その評価益に対して課税されてしまう
・連結ベースで税務上の損金算入限度額を計算した結果、損金算入枠が縮小するものがある
・連結特有の所得・税金計算のための事務負担が生じる
4. その他の留意点
地方税については、連結納税制度はありません。よって連結納税グループ内の黒字と赤字の相殺はできず、それぞれの法人で申告納税を行うことになります。
また、消費税についても、連結納税制度はありません。こちらも各法人毎に計算を行うことになります。
5. まとめ
上記のように、連結納税はそのメリット・デメリッットが表裏一体であり、連結納税制度の適用を考えられている企業様は本当に連結納税制度を適用することで自社にとって有利になるのかをどうか、慎重に判断していく必要があります。
今回は連結納税制度の大枠を紹介しました。次回は具体的な手続きや納税の仕組みなどをご紹介していこうと思います。
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